常任委員のつぶやき
2023年2月22日
「先生、はるかってチョイポチャですよね?(カワイイ)」
「いいえ、はっきり言って肥満です!」
『お手入れ』で動物病院に行った際、担当の獣医師より400g減のダイエットを言い渡されました。『お手入れ』とは、エステではなく、ましてや猫の全身脱毛でもありません。飼い主の私がヘタレで爪切りが出来ないので、毎月『お手入れ』と称して、爪切りと一緒に口内や耳、体重、心臓音などの簡単な全身チェックをしていただいているのです。

まるで人間
外食も買い食いもしないのですから、全てはエサを与える飼い主の責任。でも、人間とは違い猫には食べる以外の楽しみはあまり無いわけで、「にゃおーん」と顔をスリスリしながら鳴かれると。心を鬼に出来ないダメな飼い主です。最近はご飯を出すと空腹からか、ガっと勢いよく貪る姿が見ていて怖いほど・・・。

今晩のメニューは?
そんな彼女が昨年12月の頭に珍しく朝から食欲が無く、いつになくぼんやりした様子。しまいには嘔吐の繰り返し。びっくりして、こちらがへなへなと床に座り込んでしまいました。保護猫団体のネコ先輩にすぐに相談して、動物病院に直行。涙目でメモを見ながら早口で話す一人と診察台の上でビビって震える一匹。
異食の可能性もあるということで、注射、点滴、薬の処方をしていただき、一旦様子見で帰宅しました。異食、心当たりがあるような、無いような・・・。(汗と涙)
その後、少し元気が出たように見えたのですが、夜になるとまた朝と同じ状態に。(再び涙)
翌朝また獣医師に電話で相談して、再来院。もう、仕事なんかしている場合じゃない。(大汗)
診察の結果、「お腹に何かが触れる!!お預かりします。」ということで、検査入院となりました。(大涙)
私も眠れぬ夜を過ごしましたが、翌朝院長より「嘔吐も止まり、バリウムもゆっくりですが流れたので大丈夫だと思います。午後に迎えに来てください。」と電話がありホッと胸をなでおろしました。たった1泊でしたが、うちに来てから初めての外泊。私の財布と同じくらい、はるかもげっそりして帰ってきました。(こういう時、ペット保険に入るか迷いますね)
1泊で念願の200g減って、「ヒャッホー!」と喜んだのですが、体調が戻ると食欲も戻り、すぐに体重も100g減まで戻りました。冬になって運動量も減ったので、クリスマスに2台目のキャットタワーをプレゼント。一昨年のクリスマスプレゼントは、ネコ専用こたつでした。(今年は全然こたつに入らないし。あぁ、バカな飼い主)

この体重計、狂ってるんじゃないの?
今日も脚にまとわりついて、「ごはん?おやつ?美味しいものいっぱいくださーい!」と叫んでいます。でもね、「はるか、体重量るよ!」と声をかけると洗面所の体重計前に飛んでくるというおりこう猫なのです。(どこまでも親バカな飼い主)
元気が何より!春に向けて、ゆっくり目標達成しましょうね!


お気に入りの三角屋根の中で/頭隠して尻(足?)隠さず
K/T
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2022年12月12日
11月半ば、赤坂のジャローナさんで開催されていたキタガワアキコさんの個展にお邪魔してきました。
ジャローナさんは和菓子の塩野さんの前という素敵な立地にある、地下の画廊カフェです。螺旋階段を降りて展示会ポストカードに導かれるようにして扉を開けると……そこは眩いばかりのガラスの世界。
前回お会いしたのは6月に行われた雅叙園の百段階段でのコラボ、そしてBunkamuraでグループ展をされていた時なので、もう5ヶ月も前という計算になります。その5ヶ月のあいだ、キタガワさんはたくさんの素敵なガラス作品を作っていらっしゃいました。
いざ、キタガワさんの作品に再会です!

今回の個展では秋、クリスマス、お正月をテーマにしたガラス作品が多くみられました。
写真はガラスの天使やクリスマスツリーです。とても繊細で華やか。どちらもさまざまな大きさ、カラーが展開されていたので、ご自身の好みやお部屋の雰囲気によって選べます。
我が家では12月になると、オーナメントを飾ったツリーや陶器の記念プレート、チョコレートの入ったアドベントカレンダーなどがクリスマスインテリアとして登場するのですが、こうした透明感のあるガラス作品もまた雰囲気の違うクリスマスを演出してくれそうです。
また飾って目で楽しむものだけでなく、小さな天使やツリーがついている箸置きなど使って楽しむ作品もあり、この季節の食事がワクワクしたものに変わりそうで、いつかお迎えしたいな、と思いました。

こちらは、お正月のイメージ。
今回は、こちらの蜜柑のフタがついた鏡餅の水差しをお迎えしました。このぷっくら鏡餅とちんまり蜜柑が可愛くて可愛くて……。
「まったりとした濃いめの蜜柑色がたまらなく可愛いです!」とお伝えすると、「最初は透明なオレンジ色にしていたのですが、途中でやっぱり違うな、と思ってマットなオレンジのガラスで作りかえたのです」と教えてくださいました。
そうした試行錯誤のお話を伺い、ますます蜜柑のフタが愛しくなってしまいました。大事にします!

こちらは雪だるまのミルクピッチャーたちです。
松操会のMさんが雪だるまのミルクピッチャーがほしいとお話されていたので、サプライズでもうお迎えしちゃおうかなとも思ったのですが、ひとりひとりのお顔が違っていて「これはやはり御本人に選んでいただきたい♪」と、委員会で「雪だるまさんいましたよ」と、お伝えするにとどめてしまいました。
わたしはシマエナガのミルクピッチャーを使っていますが、牛乳を入れて真っ白になった時の可愛さは透明な時の可愛さとはまた別物で、自分にコーヒーを淹れた時にも使っています。

今回は4面の壁を使い展示されていたのですが、このように場所ごとにメリハリをつけて展示できる場合、テーマを決めてふたつに分けているそうです。
ひとつは雅叙園に展示するようなアートな作品です。その時その時の、キタガワさんの持つ技術や能力を最大限に注ぎ込んだ全力の作品群たちは、ため息ができるほどに美しく、カメラを近づけるのもドキドキしてしまいます。

もうひとつは、アクセサリーや食器、花器など日常で毎日気軽に使ってもらえるもの。数々の名品を残したインダストリアルデザイナーでもあり民藝運動の創始者である柳宗悦氏は、身近な生活道具に新しい価値を見出し「用の美」と称えましたが、わたしも毎日手にとって使ってもらえる作品もまた祝福されたアートだと感じています。
そして、そのふたつは制作する上で決して切り離されたものではなく、飾るもの・使うもの双方がお互いに影響をしあって、新しい発想につながっていく、とキタガワさんはおっしゃっていました。

キタガワさんの作品にはたくさんの動物が登場するのも楽しい見どころです。
動物がお好きだとのことで、わたしが多摩動物公園で買ったオオカミの顔のパスケースをバッグにつけていたら、さっそく見つけてくださいました。
写真はガラスペン用のインク差しで、フタにヨーキーがついています。このフタの上にちんまり座っているヨーキーが何とも言えない存在感を放っていてとても目立っていました。とても小さいしガラスではあるのですが、でもしっかりヨーキー。
聞けば、ヨーキーさんは小さい頃ずっといっしょに暮らしていて、今は妹さんが飼っていらっしゃるので好きなだけ愛でることができるそうです。それゆえほかの動物と違い、参考資料なしで作れるとおっしゃっていました。確かにヨーキーの愛がひしひしと伝わってくる可愛さです。わん。

さて、今日の感想はこのぐらいで。次はどんなキラキラした世界に出会えるのでしょうか。
キタガワアキコさんの展示・イベント予定は下記のリンクから確認できます。皆さまに素敵な出会いがありますように♪
<ホームページ>
ガラス作家 キタガワ アキコ
https://www.kitagawaakiko.com/
<インスタグラム>
@bathakiglass
https://www.instagram.com/bathakiglass/
ジャローナさんは和菓子の塩野さんの前という素敵な立地にある、地下の画廊カフェです。螺旋階段を降りて展示会ポストカードに導かれるようにして扉を開けると……そこは眩いばかりのガラスの世界。
前回お会いしたのは6月に行われた雅叙園の百段階段でのコラボ、そしてBunkamuraでグループ展をされていた時なので、もう5ヶ月も前という計算になります。その5ヶ月のあいだ、キタガワさんはたくさんの素敵なガラス作品を作っていらっしゃいました。
いざ、キタガワさんの作品に再会です!

今回の個展では秋、クリスマス、お正月をテーマにしたガラス作品が多くみられました。
写真はガラスの天使やクリスマスツリーです。とても繊細で華やか。どちらもさまざまな大きさ、カラーが展開されていたので、ご自身の好みやお部屋の雰囲気によって選べます。
我が家では12月になると、オーナメントを飾ったツリーや陶器の記念プレート、チョコレートの入ったアドベントカレンダーなどがクリスマスインテリアとして登場するのですが、こうした透明感のあるガラス作品もまた雰囲気の違うクリスマスを演出してくれそうです。
また飾って目で楽しむものだけでなく、小さな天使やツリーがついている箸置きなど使って楽しむ作品もあり、この季節の食事がワクワクしたものに変わりそうで、いつかお迎えしたいな、と思いました。

こちらは、お正月のイメージ。
今回は、こちらの蜜柑のフタがついた鏡餅の水差しをお迎えしました。このぷっくら鏡餅とちんまり蜜柑が可愛くて可愛くて……。
「まったりとした濃いめの蜜柑色がたまらなく可愛いです!」とお伝えすると、「最初は透明なオレンジ色にしていたのですが、途中でやっぱり違うな、と思ってマットなオレンジのガラスで作りかえたのです」と教えてくださいました。
そうした試行錯誤のお話を伺い、ますます蜜柑のフタが愛しくなってしまいました。大事にします!

こちらは雪だるまのミルクピッチャーたちです。
松操会のMさんが雪だるまのミルクピッチャーがほしいとお話されていたので、サプライズでもうお迎えしちゃおうかなとも思ったのですが、ひとりひとりのお顔が違っていて「これはやはり御本人に選んでいただきたい♪」と、委員会で「雪だるまさんいましたよ」と、お伝えするにとどめてしまいました。
わたしはシマエナガのミルクピッチャーを使っていますが、牛乳を入れて真っ白になった時の可愛さは透明な時の可愛さとはまた別物で、自分にコーヒーを淹れた時にも使っています。

今回は4面の壁を使い展示されていたのですが、このように場所ごとにメリハリをつけて展示できる場合、テーマを決めてふたつに分けているそうです。
ひとつは雅叙園に展示するようなアートな作品です。その時その時の、キタガワさんの持つ技術や能力を最大限に注ぎ込んだ全力の作品群たちは、ため息ができるほどに美しく、カメラを近づけるのもドキドキしてしまいます。

もうひとつは、アクセサリーや食器、花器など日常で毎日気軽に使ってもらえるもの。数々の名品を残したインダストリアルデザイナーでもあり民藝運動の創始者である柳宗悦氏は、身近な生活道具に新しい価値を見出し「用の美」と称えましたが、わたしも毎日手にとって使ってもらえる作品もまた祝福されたアートだと感じています。
そして、そのふたつは制作する上で決して切り離されたものではなく、飾るもの・使うもの双方がお互いに影響をしあって、新しい発想につながっていく、とキタガワさんはおっしゃっていました。

キタガワさんの作品にはたくさんの動物が登場するのも楽しい見どころです。
動物がお好きだとのことで、わたしが多摩動物公園で買ったオオカミの顔のパスケースをバッグにつけていたら、さっそく見つけてくださいました。
写真はガラスペン用のインク差しで、フタにヨーキーがついています。このフタの上にちんまり座っているヨーキーが何とも言えない存在感を放っていてとても目立っていました。とても小さいしガラスではあるのですが、でもしっかりヨーキー。
聞けば、ヨーキーさんは小さい頃ずっといっしょに暮らしていて、今は妹さんが飼っていらっしゃるので好きなだけ愛でることができるそうです。それゆえほかの動物と違い、参考資料なしで作れるとおっしゃっていました。確かにヨーキーの愛がひしひしと伝わってくる可愛さです。わん。

さて、今日の感想はこのぐらいで。次はどんなキラキラした世界に出会えるのでしょうか。
キタガワアキコさんの展示・イベント予定は下記のリンクから確認できます。皆さまに素敵な出会いがありますように♪
<ホームページ>
ガラス作家 キタガワ アキコ
https://www.kitagawaakiko.com/
<インスタグラム>

https://www.instagram.com/bathakiglass/
2022年12月1日
今日から12月。2022年も残すところあと1ヵ月。
学園に暮れのご挨拶に伺いました。
すると、ロビーに大きなクリスマスツリーが飾られていました!
ツリーの足元には、たくさんのラッピングされたプレゼントボックス!!

ひな祭りには雛人形を飾ったりと季節毎に生徒達の目を楽しませる演出をする女子校があると聞いていましたが、三輪田もこんな風に生徒サービスをするようになったんですね。
一緒にいた高校37回のTさんがひと言。
「私が生徒だったら、あのプレゼントボックスを一ついただいてしまったかも!?」と。(笑)
でも、クリスマスツリーのすぐそばに眞佐子先生の銅像があるところは、やっぱり三輪田!!
《32回高橋》
2022年11月9日
「読書の三輪田」という言葉を初めて聞いたのはいつのことだったでしょうか。
児童の8割程度が中学受験をする学区に住んでいたので、小学校低学年の時からお姉さんがいるご家庭を中心に、集まるたびになんとなく私立中学校の話が出ていました。
わたしが三輪田学園出身だと知ると、学校についてさまざまな質問をされたり、逆に今の三輪田について教えてもらったりしたものでしたが、そんな流れで聞いた言葉ではないかと思います。「いま三輪田学園は “読書の三輪田” って言われているのよ」と。
言われてみれば、わたしが在学していた当時から三輪田は読書教育に熱心であった気がします。
課内クラブでも読書部がありましたし、西先生が本好きな生徒を集めて読書会を開催しており、わたしも参加させてもらっていました。毎回、メンバーのお勧めする本を全員で読み、感想を言い合う会だったのですが、そこで永井荷風との出会いがあったのをありがたく思い出します。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、「読書の三輪田」を証明するかのような書籍がいま書店に並んでいるのをご存知でしょうか。
『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)が、その本です。
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帯の部分をご覧ください。
第9回高校生直木賞「私たちの心を揺さぶる言葉があった。」(三輪田学園高等学校)
去る2022年5月22日に開催された第9回高校生直木賞の選考に三輪田学園の高2の生徒さんが参加し、38校の高校生たちと小説について激論をかわしたそうです。
その際の発言が高校生直木賞を受賞した当作品の帯の言葉として採用されました。
『同志少女よ、敵を撃て』は、独ソ戦が激化する1942年、急襲してきたドイツ兵によって母や村人の命を奪われ、自らも射殺される直前で「戦いたいか、死にたいか」という究極の条件をつきつけられたモスクワ近郊に暮らす少女セラフィマのお話です。戦うことを選んだセラフィマは、女性だけの狙撃兵の学校に入り、苛烈な訓練の末、独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線に向かいます。
いまの日本では考えられない、しかし世界を見渡せばそれが日常として存在する国もある、胸が苦しくなるような少女の物語を三輪田学園の生徒さんが読み、そして自らの気持ちを置き換えた言葉が書籍の帯として採用される……。「読書の三輪田」最高の名誉のひとつではないかと思いました。
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そして塩見校長先生からこの本をご紹介いただいた時に伺ったのは、「今は三輪田学園だけでなく、女子校全体が一丸となって、女子校教育というものを守っていきたいと思っている」ということでした。
そこで生と死を隣り合わせにしながら強く生きる少女を描いた『同志少女よ、敵を撃て』、そして「女子校」というふたつのキーワードを絡めた、強い信念を感じさせる小説について、つぶやきたいと思います。
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こちらは恵泉女学園 中学・高等学校の創立者・河井道先生の生涯を描いた『らんたん』(小学館)です。
著者は同校出身の柚木麻子さん、『王妃の帰還』や『終点のあの子』など、「これは恵泉を舞台にしているんだな」と思われる小説も書かれています。
周囲の人々に支えられて女子教育に生涯をかけられた河井道先生だけでなく、津田塾の基礎を作られた津田梅子先生や、日本女子大の創立に尽力した広岡浅子さんも生き生きと描かれています。
この当時、女子が学ぶということがいかに大変なのか、そして女性が女子のための学校を立ち上げるのがどれだけ命がけだったか、そんな努力の礎のうえに、わたしたちが学べていたことを感じさせられる『らんたん』です。
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そしてこちらは三浦しをんさんの『ののはな通信』(角川書店)です。
ミッション系の女子高・聖フランチェスカに在籍する、野々原茜こと「のの」と、牧田はなこと「はな」のふたりが女子高時代から大人になるまで、永きに渡り手紙を交換しあい、お互いの人生を紡いでいく書簡体小説になっています。
三浦しをんさんのご出身が横浜雙葉なせいか、女子校に息づく生徒たち、先生たちの空気の捉え方がとても自然で、わたしが三輪田時代にお友だちと学校で手紙を交換して、小さなことのひとつひとつに、ひそやかに、でも大騒ぎしていたのを思い出させてくれました。
重大な秘密を抱えた気になっていても、その実、学校や家庭に守られている安穏な学生生活を終え、ふたりは人生の航路へ繰り出しますが、そこに波のように抗いがたい暴力が押し寄せてきます。政情不安定な国への駐在帯同であったり、天災であったり。しかしお互いが共に生きていたという事実がふたりを強くさせている、そんなことが書簡から読み取れる女子校小説の大作です。
読書の秋、「読書の三輪田」のことを思い出しながら、読んでみるのも楽しいかもしれない本を、ひとりごとしてみました。
児童の8割程度が中学受験をする学区に住んでいたので、小学校低学年の時からお姉さんがいるご家庭を中心に、集まるたびになんとなく私立中学校の話が出ていました。
わたしが三輪田学園出身だと知ると、学校についてさまざまな質問をされたり、逆に今の三輪田について教えてもらったりしたものでしたが、そんな流れで聞いた言葉ではないかと思います。「いま三輪田学園は “読書の三輪田” って言われているのよ」と。
言われてみれば、わたしが在学していた当時から三輪田は読書教育に熱心であった気がします。
課内クラブでも読書部がありましたし、西先生が本好きな生徒を集めて読書会を開催しており、わたしも参加させてもらっていました。毎回、メンバーのお勧めする本を全員で読み、感想を言い合う会だったのですが、そこで永井荷風との出会いがあったのをありがたく思い出します。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、「読書の三輪田」を証明するかのような書籍がいま書店に並んでいるのをご存知でしょうか。
『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)が、その本です。
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帯の部分をご覧ください。
第9回高校生直木賞「私たちの心を揺さぶる言葉があった。」(三輪田学園高等学校)
去る2022年5月22日に開催された第9回高校生直木賞の選考に三輪田学園の高2の生徒さんが参加し、38校の高校生たちと小説について激論をかわしたそうです。
その際の発言が高校生直木賞を受賞した当作品の帯の言葉として採用されました。
『同志少女よ、敵を撃て』は、独ソ戦が激化する1942年、急襲してきたドイツ兵によって母や村人の命を奪われ、自らも射殺される直前で「戦いたいか、死にたいか」という究極の条件をつきつけられたモスクワ近郊に暮らす少女セラフィマのお話です。戦うことを選んだセラフィマは、女性だけの狙撃兵の学校に入り、苛烈な訓練の末、独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線に向かいます。
いまの日本では考えられない、しかし世界を見渡せばそれが日常として存在する国もある、胸が苦しくなるような少女の物語を三輪田学園の生徒さんが読み、そして自らの気持ちを置き換えた言葉が書籍の帯として採用される……。「読書の三輪田」最高の名誉のひとつではないかと思いました。
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そして塩見校長先生からこの本をご紹介いただいた時に伺ったのは、「今は三輪田学園だけでなく、女子校全体が一丸となって、女子校教育というものを守っていきたいと思っている」ということでした。
そこで生と死を隣り合わせにしながら強く生きる少女を描いた『同志少女よ、敵を撃て』、そして「女子校」というふたつのキーワードを絡めた、強い信念を感じさせる小説について、つぶやきたいと思います。
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こちらは恵泉女学園 中学・高等学校の創立者・河井道先生の生涯を描いた『らんたん』(小学館)です。
著者は同校出身の柚木麻子さん、『王妃の帰還』や『終点のあの子』など、「これは恵泉を舞台にしているんだな」と思われる小説も書かれています。
周囲の人々に支えられて女子教育に生涯をかけられた河井道先生だけでなく、津田塾の基礎を作られた津田梅子先生や、日本女子大の創立に尽力した広岡浅子さんも生き生きと描かれています。
この当時、女子が学ぶということがいかに大変なのか、そして女性が女子のための学校を立ち上げるのがどれだけ命がけだったか、そんな努力の礎のうえに、わたしたちが学べていたことを感じさせられる『らんたん』です。
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そしてこちらは三浦しをんさんの『ののはな通信』(角川書店)です。
ミッション系の女子高・聖フランチェスカに在籍する、野々原茜こと「のの」と、牧田はなこと「はな」のふたりが女子高時代から大人になるまで、永きに渡り手紙を交換しあい、お互いの人生を紡いでいく書簡体小説になっています。
三浦しをんさんのご出身が横浜雙葉なせいか、女子校に息づく生徒たち、先生たちの空気の捉え方がとても自然で、わたしが三輪田時代にお友だちと学校で手紙を交換して、小さなことのひとつひとつに、ひそやかに、でも大騒ぎしていたのを思い出させてくれました。
重大な秘密を抱えた気になっていても、その実、学校や家庭に守られている安穏な学生生活を終え、ふたりは人生の航路へ繰り出しますが、そこに波のように抗いがたい暴力が押し寄せてきます。政情不安定な国への駐在帯同であったり、天災であったり。しかしお互いが共に生きていたという事実がふたりを強くさせている、そんなことが書簡から読み取れる女子校小説の大作です。
読書の秋、「読書の三輪田」のことを思い出しながら、読んでみるのも楽しいかもしれない本を、ひとりごとしてみました。
Yoco.Y