常任委員のつぶやき

もう師走


今日から12月。2022年も残すところあと1ヵ月。
学園に暮れのご挨拶に伺いました。

すると、ロビーに大きなクリスマスツリーが飾られていました!
ツリーの足元には、たくさんのラッピングされたプレゼントボックス!!


 
ひな祭りには雛人形を飾ったりと季節毎に生徒達の目を楽しませる演出をする女子校があると聞いていましたが、三輪田もこんな風に生徒サービスをするようになったんですね。

一緒にいた高校37回のTさんがひと言。
「私が生徒だったら、あのプレゼントボックスを一ついただいてしまったかも!?」と。(笑)

でも、クリスマスツリーのすぐそばに眞佐子先生の銅像があるところは、やっぱり三輪田!!

 
《32回高橋》

本屋さんで「三輪田学園」の文字を発見!

「読書の三輪田」という言葉を初めて聞いたのはいつのことだったでしょうか。

児童の8割程度が中学受験をする学区に住んでいたので、小学校低学年の時からお姉さんがいるご家庭を中心に、集まるたびになんとなく私立中学校の話が出ていました。

わたしが三輪田学園出身だと知ると、学校についてさまざまな質問をされたり、逆に今の三輪田について教えてもらったりしたものでしたが、そんな流れで聞いた言葉ではないかと思います。「いま三輪田学園は “読書の三輪田” って言われているのよ」と。

言われてみれば、わたしが在学していた当時から三輪田は読書教育に熱心であった気がします。

課内クラブでも読書部がありましたし、西先生が本好きな生徒を集めて読書会を開催しており、わたしも参加させてもらっていました。毎回、メンバーのお勧めする本を全員で読み、感想を言い合う会だったのですが、そこで永井荷風との出会いがあったのをありがたく思い出します。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、「読書の三輪田」を証明するかのような書籍がいま書店に並んでいるのをご存知でしょうか。

『同志少女よ、敵を撃て』(逢坂冬馬/早川書房)が、その本です。



帯の部分をご覧ください。

第9回高校生直木賞「私たちの心を揺さぶる言葉があった。」(三輪田学園高等学校)

去る2022年5月22日に開催された第9回高校生直木賞の選考に三輪田学園の高2の生徒さんが参加し、38校の高校生たちと小説について激論をかわしたそうです。

その際の発言が高校生直木賞を受賞した当作品の帯の言葉として採用されました。

『同志少女よ、敵を撃て』は、独ソ戦が激化する1942年、急襲してきたドイツ兵によって母や村人の命を奪われ、自らも射殺される直前で「戦いたいか、死にたいか」という究極の条件をつきつけられたモスクワ近郊に暮らす少女セラフィマのお話です。戦うことを選んだセラフィマは、女性だけの狙撃兵の学校に入り、苛烈な訓練の末、独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線に向かいます。

いまの日本では考えられない、しかし世界を見渡せばそれが日常として存在する国もある、胸が苦しくなるような少女の物語を三輪田学園の生徒さんが読み、そして自らの気持ちを置き換えた言葉が書籍の帯として採用される……。「読書の三輪田」最高の名誉のひとつではないかと思いました。



そして塩見校長先生からこの本をご紹介いただいた時に伺ったのは、「今は三輪田学園だけでなく、女子校全体が一丸となって、女子校教育というものを守っていきたいと思っている」ということでした。

そこで生と死を隣り合わせにしながら強く生きる少女を描いた『同志少女よ、敵を撃て』、そして「女子校」というふたつのキーワードを絡めた、強い信念を感じさせる小説について、つぶやきたいと思います。



こちらは恵泉女学園 中学・高等学校の創立者・河井道先生の生涯を描いた『らんたん』(小学館)です。

著者は同校出身の柚木麻子さん、『王妃の帰還』や『終点のあの子』など、「これは恵泉を舞台にしているんだな」と思われる小説も書かれています。

周囲の人々に支えられて女子教育に生涯をかけられた河井道先生だけでなく、津田塾の基礎を作られた津田梅子先生や、日本女子大の創立に尽力した広岡浅子さんも生き生きと描かれています。

この当時、女子が学ぶということがいかに大変なのか、そして女性が女子のための学校を立ち上げるのがどれだけ命がけだったか、そんな努力の礎のうえに、わたしたちが学べていたことを感じさせられる『らんたん』です。



そしてこちらは三浦しをんさんの『ののはな通信』(角川書店)です。

ミッション系の女子高・聖フランチェスカに在籍する、野々原茜こと「のの」と、牧田はなこと「はな」のふたりが女子高時代から大人になるまで、永きに渡り手紙を交換しあい、お互いの人生を紡いでいく書簡体小説になっています。

三浦しをんさんのご出身が横浜雙葉なせいか、女子校に息づく生徒たち、先生たちの空気の捉え方がとても自然で、わたしが三輪田時代にお友だちと学校で手紙を交換して、小さなことのひとつひとつに、ひそやかに、でも大騒ぎしていたのを思い出させてくれました。

重大な秘密を抱えた気になっていても、その実、学校や家庭に守られている安穏な学生生活を終え、ふたりは人生の航路へ繰り出しますが、そこに波のように抗いがたい暴力が押し寄せてきます。政情不安定な国への駐在帯同であったり、天災であったり。しかしお互いが共に生きていたという事実がふたりを強くさせている、そんなことが書簡から読み取れる女子校小説の大作です。

読書の秋、「読書の三輪田」のことを思い出しながら、読んでみるのも楽しいかもしれない本を、ひとりごとしてみました。

 
Yoco.Y

芸術の秋 with 小川リヱさん

今回は「常任委員のつぶやき」番外編、松操会で事務をしております高校32回ハギワラがお届けします。

過日、六本木の国立新美術館にて開催された「第86回自由美術展」を観てまいりました。
高校28回ご卒業の先輩、小川リヱさんが出展されていたからです。
小川さんは三輪田生時代に美術部でしたが、私が属していたハーフペンクラブの先輩方と仲が良く、当時はしょっちゅう「セキヤ(小川さんの旧姓)が…」「セキヤが…」とお名前を伺っていました。
ですが、実際にお話をするようになったのは卒業から三十年経った2011年から。
小川さんが、同級生の華道家・田中さんとのコラボレーション展示会をやはり同級生の鈴木さんが経営する骨董通りのギャラリーで開催されたことがきっかけとなりました。
※この展示会について詳しくは、2012年発行の松操会誌60号掲載の小川さんの記事をご覧くださいませ。このサイトのTOPページ<松操会誌 過去号をご覧になれます>から
でも閲覧可能です♪

今回の自由美術展での作品は、「アンドロギュナス」という高さが2mほどある大きなもの。



小川さんの作品らしい美しい色づかいや描かれた筋肉美が好きです。
いったいどこからこのイメージが湧いてくるのでしょうか……?
ご本人に伺うと「ほんとうよねえ(笑) 初めは『満員電車イヤだなあ』からだったの」との回答にびっくり。頭の中を覗いてみたいものです。
 


ご一緒した高校28回生の方々。一番左が小川リヱさん。

近くのサントリー美術館もハシゴして(こちらにも学芸員として松操会員さんがいらっしゃいましたね。松操会誌67号をご覧くださいませ)、芸術の秋を楽しみました。

  







小川さんはこの秋、練馬区で二回出展されます。こちらも楽しみです!

江古田のまちの芸術祭2022 at FURUTO


 

第68回練馬区美術家協会展


 
小川リヱさんのホームページはこちら

ご一緒した高校28回生、刺子作家・小野崎秀子さんのインスタはこちら 


 
高校32回 ハギワラ

海老原好枝さんのアーティフィシャルフラワー展

台風も去り、空気が入れ替わったかのように秋を感じられる気持ちのよい午後、谷中で開催されているアーティフィシャルフラワーの展覧会に行ってきました。

華やかなアーティフィシャルフラワーを作られているのは33回卒業の海老原好枝さん。

毎年、松操会のバザーに出店されていたので、美しいお花とひまわりのような笑顔の海老原さんファンの方も多いのではないでしょうか。

そんな海老原さんが、9月21日から25日まで、ギャラリー「ならん葉」さんで、手塚仁見さんと一緒に二人展をされていらっしゃるとお聞きしたので、松操会のTさんと一緒にお邪魔してきました。
 



日暮里の北口で待ち合わせをして、谷中墓地を横目に歩き、いかにも谷中らしい石屋さんの角を曲がると「ならん葉」さんはありました。谷根千と言われて大人気のこの街に溶け込んだ、素敵なお店です。


Tさんの「早く行かないとほとんど売約済みになっちゃうから」という言葉に背中を押され、初日の早い時間にお伺いしたのですが、先客の方がいらして、売約済みの赤い札がついているお花もちらほら。

海老原さんがおっしゃるには「バザーで三輪田の皆さんに直接お会いできないのがとても寂しい」とのことでしたが、わたしたちが滞在している間にも、三輪田の同窓生の方がお母様と一緒にいらっしゃっていて、とても楽しそうにお話されていました。

コロナでなかなか人と会いづらい時にも、こうして天気の良い日に散歩がてら美しいアーティフィシャルフラワーを見に出かけられると、ホッとした気分になれます。
 


 

店頭に設えた「枯れない仏花」というコーナーに足を止められて「あら、いいわね」「素敵だわ」とギャラリーの中に入っていくお客さまがたくさんいらっしゃいました。

ちょうど時期もお彼岸でしたし、谷中墓地のすぐ近くという場所柄もあり、思わず出会えた素敵な枯れないお花の魅力に気づいた方もたくさんいらっしゃったのではないでしょうか。



 

また、2022年6月に三輪田学園100年記念館で行われた「2022年度松操会総会」の受付でも、芳子先生のお写真の隣りに海老原さんのアーティフィシャルフラワーが飾られていました。

芳子先生も可愛い教え子の作った美しいお花と一緒に並ばれて、さぞやお喜びだったと思います。

わたしもこの枯れない仏花の一角に立ち、厳粛な気持ちになれました。



 

海老原さんにアーティフィシャルフラワーの世界に入られたキッカケをお聞きしてみました。

まずお花に目覚めたのは、ご家族のお仕事で駐在されたオーストラリアでのこと。オーストラリアは気候が良く、固定種のワイルドフラワーを含めて、多種多様な生花が安く手に入るのだそうです。

そこで現地の先生にオーストラリアならではのフラワーアレンジメントを習い、お花の美しさに目覚められたとか。繊細な中にも、どこかドキリとするような野趣あふれるテイストを感じることができるのは、その時に海老原さんが見ていたオーストラリアの風景やワイルドフラワーを、お花の中に見ているのかもしれません。

帰国されると、まずは五月みどりさんのフローラルティッシュボックスのお教室に通われたそうです。そこで学んだアクリルとお花の作品は今でも海老原さんが大好きな手法で、アクリルと透明感がある淡いお花の組み合わせは大人気とお聞きしました。

その後アーティフィシャルフラワー協会で学び、資格を得たそうです。
 


さらにアーティフィシャルフラワーの魅力もお聞きしてみました。

「まずは枯れないですよね。そして扱いも難しくないので気軽に飾ってもらえるのが嬉しいです

そしてお花を見ながらこう続けられます。「アーティフィシャルフラワーは、生きた花にはできないことで遊べます」

「例えば、生きているお花では葉や茎を花器にしたりデザインの中に組み込むことは難しいですよね。でもアーティフィシャルフラワーなら、それができるんです。そして写真のように、黒い菊という世界にないお花も作り出すことも。ですからお花という世界の幅を広げて、インテリアとして面白いものが作れるんじゃないかなと思っています」そう教えてくれました。
 


 

海老原さんのそんな思いが詰まったたくさんのアーティフィシャルフラワーに囲まれて、先輩Tさんとわたしは色違いでお花のバッグチャームをお迎えしました。Tさんが白で、わたしがピンクです。

海老原さんがお洋服につけていらっしゃる水色のコサージュが、とても素敵だったので、バッグチャームでありながらもコサージュとして使う計画をTさんとお話していると、海老原さんが「でも、これバッグチャームよ」と何度もおっしゃってくれました。

バッグチャームなので裏返ってしまっても美しく見えるように、裏にも紫陽花の花びらや花柄の布があしらってあります。もちろんバッグチャームとしても使わせていただきますし、来たる娘の卒業式の日にはコサージュとしても使わせていただこうと思っています。


 

美しいお花を見て幸せに、楽しくお話して元気をもらえる海老原好枝さんの展示・イベント予定は下記のリンクから確認できます。

毎月第3土曜日には東中野でワークショップも行っているそうです。わたしもお邪魔したいと思っています!

ホームページ

https://www.teresa-sincere.com/

メールアドレス

ebihara@teresa-sincere.com
 

Yoco.Y