常任委員のつぶやき

雨ニモマケズ

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノアツサニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
 
皆さんご存じの宮沢賢治の有名な詩です。
今年の春夏は、何度この冒頭部分を口ずさんで自分を励ましたことでしょう!
小学校4年生の時に学習塾の宿題で何度も暗唱したためか、今でも覚えています。
(昨日の夕食のメニューは思い出せないのにね)
 
2023年は宮沢賢治没後90年、そして2024年は「銀河鉄道の夜」出版90周年。
書店には特設コーナーが設けられ、宮沢賢治に関するイベントなども色々あるようです。
 
5月に上映された「銀河鉄道の父」では、名優・役所広司さんが息子を大きく深い愛で包む父親・政次郎を熱演されていました。
「いつか賢治の生まれた花巻や青春時代を過ごした盛岡のゆかりの場所を訪ねて、その世界観に浸りたい」と旅行を計画していましたが体調不良のため泣く泣く断念。
(鉄子としては、6月に運転終了となるSL銀河乗車がメインでしたが。涙)
 
実は私の地元には、賢治が若かりし頃に傾倒した「国柱会」の本部があり、その中の合同墓には、賢治の遺骨の一部が納められています。
(妹トシの遺骨もそちらに賢治が納めたという話もあります)
旅行が叶わなかったので、命日9月21日にそちらにお墓参りに行こうと思っています。
決して大きな敷地ではないですが、春には桜、秋には紅葉がきれいな所で、夏には盆踊りがあるなど、信者さん以外の私のような一般の人も自由に訪れる場所です。
 
気を取り直して、お盆の前には体調も落ち着くだろうと早々と九州行きを予約したら、なんと台風6号が接近!「雨女」の本領発揮!!
博多のホテルの部屋で夜遅くまでTVを見ていると、JR九州からの運休の発表が次々と。
翌日はどうにか予定をこなし、飛行機が欠航したので、新幹線に振替えて無事に帰宅しました。
「博多から東京まで5時間も新幹線に乗れる!」と超ポジティブシンキングの鉄子。
思い出作りに、もうすぐ終了予定(これも涙)の車内販売を何度も利用しました。
 
翌週の台風7号の時は、お盆帰省と新幹線のストップという慌ただしい模様をニュースで見ました。
JRの対応に非難もあったようですが、当たり前に思われている平時の定時安全運行を思うと、非常時の鉄道関係者の地道なお仕事ぶりには、感謝しかありませんでした。
 
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

最後になりましたが、台風・大雨の被害にあわれた方へ、お見舞い申し上げます。
秋もまた大雨等が予想されますので、皆さま、今後ともお気を付けください。  K/T




 

大先輩の美しい絵


松操会誌のカットでもおなじみの高校2回白井延子さんが油絵を出展されている第51回「麻の会展」へ松操会の皆さまとお邪魔してきました。
場所は銀座コリドー通りにある「銀座アートホール」です。伊能忠敬のご子孫でいらっしゃる伊能亮先生の個展と併催されていらっしゃいます。
コロナで日常の活動ができなかった時期にも、絵を描き続けることが生きる支えになっていらっしゃったという麻の会の皆さまの素敵な作品を拝見しに、いざ、アートホールへ!



1階で伊能亮先生の個展、そして2階で麻の会展を開催しています。

絵画に負けないほど美しく華やかな衣装を召された白井さんが、2階まで案内してくださいました。

こちらが白井さんの描かれた「姉妹」と51回の課題作品「花」です。深い湖のようなエメラルドグリーンを背景に美しくたおやかな女性ふたりが描かれています。後ろは庭園でしょうか。課題にもなっている花が咲き乱れ、2つの作品は呼応しあうように、白井さんの世界を作りあげています。



松操会誌で良くお見かけしていた白井さんのサインです。
繊細なタッチのサインを生で拝見できてひそかに興奮しておりました。




いつまでもお若く美しい白井さん。その秘訣は白井さんの芸術に対する飽くなき探究心に違いない、と僭越ながらも絵画について質問させていただきました。
麻の会の出展作品は1年かけて描かれているそうで、年間を通じてのライフワークとして楽しんで制作されていること。毎年、大きな作品と4号の課題作品を出展されているそうですが、先に描かれているのはオリジナルの作品のほうだということ。「小さな課題作品には、大きな作品を描いた時の残りの絵の具を使っちゃうのよ」なんて可愛い秘密も教えてくださいました。




こちらは過去の白井さんの作品です。

この時も女の子を描かれているのですが、その白くて柔らかそうな肌が白井さんの優しいタッチにぴったりで、実物の絵も拝見してみたくなりました。

「わたしは女の人を描くのが好きなのよ。男の人はあんまり描けないの。だから親戚の女の人たちはみんな描いてしまって、もう描いていない子はいないぐらい」と笑っておっしゃる白井さんに、Tさんが「ぜひご親戚皆さんの2枚目を描いていただきたいです」とおっしゃっていました。素敵な女性の大先輩である白井さんが、女性の生涯を描いていくというのは、とても素敵なことだと思います。



最後に白井さんと絵を囲んで、ご一緒させていただいた三輪田学園の皆さまとパチリ!
白井さんを筆頭に美しく華やかな先輩が、いつまでも人生を明るく楽しく力強く歩んでいる姿は、後輩として生きる勇気をいただいた気分になれます。
楽しい1日をありがとうございました!


yoco.y

月夜とめがねと香水瓶


5月のある雨の日、濃い緑が美しい目黒雅叙園に行ってきました。

お目当てはただ今、開催中の「大正ロマン×百段階段」コラボです。今回の切り口は文学。「文豪が誘うノスタルジックの世界」という、いかにもロマン溢れる世界を期待させるサブタイトルがついています。

昭和10年に完成した文化財・百段階段の部屋で、近代文学をイメージした空間演出とイラスト、そして今回も参加されている39回キタガワアキコさんのガラス作品がどのように物語を紡いでくれるのでしょう。※立体展示出展者紹介もご覧ください。


文豪が登場人物で作品名が技になっているというアニメ『文豪ストレイドッグス』好きが高じて、文学を愛するようになった娘と共にお邪魔させていただきました。



昭和の竜宮城とも言われている豪華絢爛な部屋を彩るのは、文学作品をイメージしたインテリア、そして立東舎から出版されている人気イラストレーターと文学がコラボした『乙女の本棚』のイラスト、そしてガラスの香水瓶や猫のオブジェなどの工芸作品となっています。

テーマとして選ばれた文学作品は太宰治『葉桜と魔笛』、中島敦『山月記』、泉鏡花『外科室』、谷崎潤一郎『秘密』など。

他のお部屋は実際に行って味わっていただくことにして、キタガワアキコさんのガラス香水瓶が演出に華を添えていた小川未明『月夜とめがね』の世界をご覧ください。

まずは小説をイメージした、げみさんのイラストが出迎えてくれます。



部屋の中を進んでいくと、とてもさりげなくインテリアに馴染んだ様子でキタガワアキコさんの香水瓶が飾ってありました。

娘も会場のイメージに合わせて少しクラシカルなワンピースを着ていったのですが、そんなコスプレ風の服装が全く浮かないぐらい大正ロマン風レトロな着物を召した別嬪さんがたくさんいらっしゃいました。どうやら着物のレンタルとランチがセットになった「大正ロマン×着物セット」という入場券が発売されているようです。

また、そんな素敵なお嬢さんたちが香水瓶の前で立ち止まり、うっとりしながら「素敵。欲しい」「下の売店で売っているわよ」なんて話し合っていました。わたしと娘の鼻が少し高くなってしまう瞬間です。



展示されている6つのガラス作品の中でも、最も『月夜とめがね』の世界観を体現されていると思った作品はこちらです。

小さなガラス瓶の中に、どこまでも広がる夜空とそこに浮かぶ月を感じることができます。

夜、月、花、蝶……ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが、ぜひ、小説を読んでから行かれることをオススメします!



主人公となるおばあさんの部屋はこちら。

安楽椅子、古いミシン、裁縫道具。わたしもいつかおばあさんになったら、こんな部屋で裁縫をしたり推理をしたりしたいです。



こちらは月夜に佇むめがねの行商人さんをイメージしています。

このように、どの部屋にも文学作品を彷彿させるインテリアが展開されています。手を触れずに演奏する不思議な電子楽器テルミンの演奏家ヨダタケシさんのBGMと相まって、小説の中に迷い込んだような不思議な体験ができました。

会期は6月11日(日)まで!ぜひ、ノスタルジックな世界を味わってきてください。



猫部の皆さまへ、にゃんサービス♪

萩原朔太郎『猫町』をテーマにした十畝の間の猫さんたちです。たくさんの猫さんが所狭しとひしめきあっていて、とっても可愛いかったです。こちらを向いている猫さん、つぶやきでもお馴染みのハルカちゃんに似ていませんか?



キタガワアキコさんの展示・イベント予定は下記のリンクから確認できます。

<ホームページ>
ガラス作家 キタガワ アキコ
https://www.kitagawaakiko.com/

<インスタグラム>
 @bathakiglass
https://www.instagram.com/bathakiglass/  
yoco.y

遠くへ行きたい ~寝台車に乗って~

「乗り鉄」「撮り鉄」「飲み鉄」「模型鉄」など鉄道ファンには色々ありますが、私は断然「乗って、食べる鉄」なのです。
時々、「国鉄の」なんて昭和の死語がポロっと出てきてしまいます。(E電なんて呼び方もありましたね)車両はレトロなものも最新型のカッコいいのも両方好きです。それに加えて、美味しい駅弁やグルメ列車には、一食抜いて参加するような意地の汚さなのです。
 
今回は、GW直前にまさかの夜行寝台車のチケットを1枚ゲット。既に前後に予定があったので、東京~出雲市までほとんど<とんぼ帰り>の日程です。
当日は、クリアファイルに大切に挟んだチケットを朝からニヤニヤ眺めて1日をやり過ごし、帰宅後シャワーを浴びてリュックを背負って、勇ましく夜の東京駅へGO!
 

平日のわりに賑わう東京駅構内の店をひやかしてからホームへ上がったら、既にシャワーカード争奪戦の行列。今回は参戦しないので、ゆっくり先頭車両から最後尾までしっかり観察して(それ、毎回必要ある??)、余裕をもって車内へ乗り込みましょう。


 
 廊下を挟み両側に個室が並ぶ。お静かに!
 
本日のマイシート(ルーム)は、「サンライズ出雲」の「シングルツイン」。2段ベッドになっている部屋を1人で利用するという、セレブ使用です。(更にその上の値段のA寝台シングルデラックスもありますが、部屋数12はますます入手困難)
入室して、鍵を閉めて、備品(全て2人分)を確認していると、車掌さんが検札に来ましたよ~♪
「お一人ですね」と確認され(日常でもよくある場面です)、ドアを閉めたら明日の朝までここは誰にも邪魔されない私の小さなお城です。


 
 右側に急階段あり。寝巻もスリッパも完備

 飲料自販機はありますが、13時間後の出雲市着まで食料の調達は難しいので、夜食と朝ご飯をしっかり調達済み。ついでに、その時にスーパーで見つけたお赤飯もあり「お祝い」モードが高まります。

今夜は、1階部分のシーツをめくってソファに作り直し、2階部分で寝ることに決定。時間はそろそろ22時近く。窓の外に目をやるとホームに並ぶ帰宅の人たちと何となく目が合います。「労働者諸君、今日も1日お疲れ様!」と偉そうにつぶやき、違いがわかる女が缶コーヒーをぐびぐび味わうと列車はゆっくり発車して、一人の宴会が始まりました。


 
 おっとセレブの食卓に20%引きの赤札が!

 時刻表を見ながら、お菓子をわしゃわしゃと食べたら、2階に上がり寝っ転がって体をグリグリほぐし、車内の電気を消してカーテンを全開に。カーブを描いた高い窓から夜の景色を眺めると、東海道線で見慣れているはずの街並みが、流れるビルのネオンや小さな星がキラキラと瞬き、何ともロマンチックです。今夜のテーマ曲は、松本伊代の「センチメンタルジャーニー」ですね。眠くなったら、このまま眠る。そして目覚めると目的地に着く。寝台車とは、何と便利で贅沢な空間なんでしょう!
 
明日は6時27分着・34分発の岡山駅で「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の切り離し作業を見るので、それに合わせて起きようと、枕元の備え付き目覚まし時計をしっかりセット。ラインで妹にもモーニングコールを頼むという普段にはない念の入れようです。
このベッドの下のゴトゴトという音と揺れが、乗り鉄には最高のゆりかごなのです。おやすみなさ~い。
 
朝の5時前、いきなり予定よりはるかに早い朝の1発目の車内放送。「前を走る貨物列車が鹿に衝突したため、現在30分遅れです。終点出雲市駅には最終的に1時間の遅れで到着の見込みです。」
「ジャーン・バルジャ~ン(あぁ、無常)!」そういえば、寝ている間にどこかでビミョウに長く停車していたような・・・。
既に帰りの列車は手配してあるので、出雲大社の滞在時間が単純に1時間減少か?もしかしたら、楽しみの「出雲そば」にもありつけないかも??
でも、ここで焦ったら「セレブ女」の名が廃る。カットリンゴを楊枝でブスッと突き刺しつまみながら、動ぜずに始発前の静かな街並みを眺めるとでもしましょう。


 
 洗面所で歯磨きも終わり、さわやかな朝

もちろん次の予定・乗り換えのために先を急ぐ乗客も一部いらっしゃるわけで・・・。
車掌さんが車内放送で、新幹線の朝1番列車を使った各方面への振り替え輸送の案内を何度も繰り返し放送します。そうか、姫路で乗り換えれば、どうにかなるのね。多分、このスピード時代に寝台車に乗ろうという奇特な人たちは、それさえも楽しもうとしているのでしょうが・・・。
 
岡山駅で切り離し作業がいつもより急ピッチで無事終了。列車が遅れているのに、写真撮影をしている人達の何とうれしそうな顔・顔・顔。私は、JRの運転手や車掌交代の挨拶放送が大好き。イントネーションも少しかわり、旅して移動しているのを耳から実感するひと時です。
この後は、倉敷を通り、中国地方をゆっくり北上していきます。


 
 正確かつ迅速な手作業

予定通り(遅れて)、出雲市駅に到着。走ってバスに乗り換え、出雲大社まで。GWを控えた参道では露店の準備を着々としています。まだ空いている境内を足早に歩き参拝したら、近くの歴史博物館に立ち寄り、帰りはカワイイ2両編成の一畑電鉄で元の出雲市駅に戻りました。本数が少ないので、この間ずっと乗り遅れないようにと、時刻表メモを握りしめていたのは内緒。事前に調べた駅前の店で「出雲そば」を食べ、お土産を少し買って、帰りの「特急やくも」に乗車です。この「ゆったりやくも」は、振り子方式で「ぐったりやくも」の異名もあるけれど、今回はそんなに揺れを感じなかったのは、ここまで長~い1日だったからかしら?岡山駅のいつもの売店で夕食用に駅弁を買って、「新幹線のぞみ」に直行。おぉー、久しぶりの混雑した車内。日常生活もだいぶ戻ってきたみたいです。


 出雲大社の鳥居前。次の宝くじはここで!


    
 一畑電鉄(ばたでん)コトコト走る

 
「姫御膳」名前のわりにボリュームあり


   
 特急やくも(ゆっくりやくも)
 
旅の帰り道、いつも東京駅から自宅まではあまり覚えていないのです。余韻に浸っているのか、それほど体と脳が疲れているのか。あれ?サンライズ出雲の外観写真が無い。無いわ。
そろそろJR九州の車両が恋しい今日この頃。あぁ、遠くへ行きたい。心も体も。 K/T