常任委員のつぶやき

常任委員のつぶやき

門馬英美さんの個展はもうすぐ!


今年の冬、松操会誌の表紙でもお馴染みの版画作家・門馬英美さん(高校54回)が、杉並のギャラリー「ギャルリ朔」で二人展をされました。
初めて降りた駅、歩いたことのない街なのに、どこか懐かしい感じのする住宅街にギャルリ朔さんはありました。「朔」と書いて「ついたち」と読むこちらの画廊は素敵な一軒家の中にあり、靴を脱いでお邪魔します。


門馬さんとお話するのを見守っていてくださったギャルリ朔のオーナーさんはもともと武蔵美の学友会にいらっしゃった方で、今回は場所の提供のみならず版画作家の門馬さんと陶磁作家の藤井由香里さんの二人展を企画されたそうです。
母校を、そしてアートを支えたいと思われるお気持ちは、松操会が三輪田を想う気持ちと少し似ているような気持ちがして、とても居心地が良い時間を過ごさせていただきました。
門馬さんは今回の二人展で、藤井さんが制作された白やガラスの陶磁器に合わせて、白や青、水面を意識した作品を集めたとおっしゃっていました。


門馬英美《Scenery》2023年

門馬さんとわたしは大学も一緒なのですが、実は美術の予備校も一緒です。当時、美術部だった門馬さんが布施先生に「美大に行きたい」と相談したところ、「だったら大きな予備校に行ったほうがいい」と教えていただき、大手のすいどーばた美術学院の門をくぐったそうです。たくさんの人がいる場所で、高いレベルの絵を見て切磋琢磨したほうがいいから、というのが、その理由でした。
また、わたしの場合は授業で描いていた油絵に納得がいかず放課後、美術室であーでもないこーでもないとキャンバスに絵の具を重ねていたら、そこに先生がいらして「性格が美大に向いているから、美術予備校に行ってみれば?」とアドバイスをいただいたのが美大を目指すキッカケとなりました。三輪田という場所が、いかに生徒を見てくれていたか、よくわかります。

門馬さんは塩見校長先生にも社会を習っていたことがあるそうです。共通テストで使うために政治経済の補講をお願いしていた日がちょうどクリスマスだったので、ケーキを買ってみんなでお祝いしながらお勉強していたという可愛いエピソードをお聞きしました。常任委員会の日に塩見先生にも伺ってみたところ、「門馬さんと食べたケーキ、覚えていますよ!ぼくはあの頃、生徒たちと記念日を祝うことにしていたのですが、ここだけの話ちょっとそれで怒られたことがありました。その直後の生徒と食べるケーキだったので見つからないようドキドキして食べたのを覚えています」と、笑いながら教えてくれました。クリスマスケーキにはそんな思い出があったのですね!


門馬英美《Before Summer》2021年

門馬さんは三輪田近くのお堀が好きなのだそうです。三輪田に通っていた時と、いまも変わらない貴重なその風景を見ると絵にしたくなると言います。三輪田に通う時も、武蔵美に通う時も、いつも電車に乗って通っていたので、その電車の中からみえる風景が制作のヒントになっています。電車の窓から見える季節の移り変わりが、門馬さんの制作への衝動にもなります。電車の中で見て気になる風景があったら降りる。降りてじかに目で見て、気に入ったら写真に撮る。そんな繰り返しでモチーフを探されているそうです。なので門馬さんにとって正方形の版画は電車の窓なのだと思う、と教えてくれました。


展覧会風景:「響き合う-蒼と白の景色-」ギャルリ朔/ 2024年

門馬さんの版画は松操会誌の表紙を飾っていただいている時も、紙面から立ち上がってくる光の煌めきや水面のせせらぎを感じることができるのですが、実際の絵を見ると、その風景の奥行きと空気の濃密さにドキッとします。版画の制作に至るまでを伺ってみると、まずは好きな風景に出会った時に写真を撮ってみて、版画で再現できるか考えてみるそうです。時間によって変わる光の見え方も含めてこの絵は描ける、版画にできる、と判断したら、その風景を20もの版に分けていきます。白や青、緑など、風景を見てパッと思いつく色だけではなく、その奥に隠された紫や茶色の版をどう組み込んでいくかが、門馬さんの絵に感じる奥行きや空気感を与えているのだと思います。

 そんな門馬英美さんの絵は8月6日(火)から12日(月・祝)まで、代官山「Gallery 子の星(ねのほし)」で行われる個展でご覧いただけます。この夏、門馬さんの絵で水面を渡る風を感じてみるのはいかがでしょうか。


展覧会風景:「響き合う-蒼と白の景色-」ギャルリ朔/ 2024年

yoco.y

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

版画作家 門馬英美

<ホームページ>
https://www.hidemimomma.com/

<Instagram>
  hidemimomma_silkscreen

【今後の展覧会情報】

個展

「門馬英美個展」
会期:2024年8月6日(火)~8月12日(月・祝)
時間:12:00〜19:00 最終日は17:00まで
会場:Gallery 子の星 http://www.nenohoshi.com
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町13-8キャッスルマンション113



グループ展

「TOKYO×PRINT×LANDSCAPE 2024 〜緑の電車で旅をして〜」
会期:2024年12月19日(木)〜25日(水)
時間:12:00-19:00
会場:Gallery 子の星 http://www.nenohoshi.com
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町13-8キャッスルマンション113


 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。* が付いている欄は必須項目です。
(卒業生の方は名前の前に卒業回数をご記入下さい。)
※管理者が承認するまでコメントは表示されません。