常任委員のつぶやき

芸工展、おかわり!

10月末日、再び芸工展に行って参りました。

今回、最終日すべりこみでお邪魔したのは千駄木駅にほど近いWhite Galleryさんの「4人展 〜knot2〜」です。

お名前の通り、真っ白な建物と内装で展示された作品の魅力を際立たせてくれます

さて、どなたの作品に会いに行ったかと言いますと……



ガラス作家の39回キタガワアキコさんでした♪

キタガワさんと年齢も近く、また同じ年ぐらいのお子さんを持ち、海外でイラストレーターをしている義妹がたまたま帰国中だったので、一緒にお邪魔してきました。

義妹は新しい目線でキタガワさんにたくさんの質問してくれて、今まで何度もお話を伺っていたのに「え?そうだったんですね!」という発見があり、とても新鮮でした。

お子さんが留学から帰られたばかりのキタガワさんと、駐在の義弟に同行している義妹は、海外の画廊談義に花が咲き、とても楽しそうでわたしも嬉しかったです。


 

紅葉、烏、栗鼠……秋らしい作品の中でも、義妹が一番好きだと言っていた栗鼠と葡萄の香水瓶、実はこのふたつの組み合わせは「葡萄栗鼠文」と呼ばれる有名な文様なのだそうです。特に西洋では日本的な意匠として人気があると言います。

栗鼠は多産なねずみと似ていて同じ齧歯目なことより子孫と繁栄を意味する縁起のよう文様とされていますし、葡萄もまた実がたわわになることから豊穣や多産を意味し、そのふたりが組み合わさることで、さらに縁起が良くなる吉祥文様とされているそうです。

いつか海外の画廊に、この葡萄栗鼠文の香水瓶が並ぶことを夢みてしまいます。


時間をかけ、細部まで作り込んだ素晴らしい芸術作品のほかにも、手に取りやすいアクセサリーや使い勝手の良い華やかなガラスの日用品も置かれています。

どのガラス作品もキラキラと白いギャラリーの中で輝いていました


 

さて、キタガワさんにとって芸工展はどんな展覧会なのでしょう。そんな問いを投げかけてみると「わたしにとって芸工展は、大好きな作家さんと一緒に、好きな作品を持ち込んでワイワイ楽しむ大人の文化祭なんです」と教えてくださいました。

気の合うお友だちの作家さんと一緒に楽しく展示し、お客さんに見ていただく、そんな大切な時間なのですね。

こちらは4人展のひとり、大谷みかこさんの作品です。陶芸を習いに行かれて、異世界の存在しない想像上の生き物、または異形の者を陶器で作るようになったとおっしゃる大谷さん。お茶碗やお皿を習いに行った大谷さんの手から幻想動物が生まれるその間にあるオリジナリティこそがアートだと感激してしまいました。


 

そしてわたしの写真ではとても掬いきれない魅力を持つ刺繍作品を生み出される長澤素子さん。

ほんの少しの糸の隆起で、淡い空気のような、静謐な時間のような、そっとした世界を表現されています。若干、騒がしいキャラが被っているわたしと義妹なのですが’(なんと誕生日がいっしょ)、長澤さんの作品の前は息をひそめるように鑑賞してしまいました。

刺繍教室では可愛いピンクッションを作れるそうです。お裁縫男子な甥っ子と行ってみたいです。


 

そして今回の4人展でお迎えしてしたのが豊村眞理さんの器です。

大谷さんの先生でもある豊村さんの器は、どれも盛ったものを10倍ぐらい美味しく見せてくれる魔法がかかっています。キタガワさんも使われていて「普通の煮物を盛っても料亭のお料理に見えるの!」とおすすめしてくれました。

しかも値段がとてもお手頃で、「え!こんな値段でいいんですか」とうっかり叫んでしまったほどです。キタガワさんが使っていらっしゃる、背の高いワイングラスをお皿にしたような器もとても素敵で悩みに悩んだのですが、このポトンとした円柱形の形が可愛いお皿が最初から最後まで気になって仕方なかったので、こちらと一緒に帰りました。秋や冬の果物が似合っていてとても嬉しいです。素敵なお買い物をありがとうございます!


 

そして最後に、お知らせがあります!

12月5日(火)より、キタガワアキコさんの個展が赤坂ジャローナさんで開催されます。

皆さまが素敵な作品に出会えますように。

 

赤坂ジャローナ

http://www.jalona.jp/

2023年12月5日(火)〜9日(土)

12:00~19:00(最終日は17:00)

〒107-0052 東京都港区赤坂2-6-22 デュオ・スカーラ赤坂Ⅱ B-102
TEL / FAX 03-3587-6810

 

<ホームページ>
ガラス作家 キタガワ アキコ
https://www.kitagawaakiko.com/

<インスタグラム>
  @bathakiglass

https://www.instagram.com/bathakiglass/

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芸工展で日本画を愛でる

10月初旬、赤坂で行われた39回キタガワアキコさんの個展でご紹介いただいた40回坂部恵子さんの日本画を拝見しに谷中に行ってきました。
 

お会いした時に立ち話させていただいたお話が非常に深く面白く独自の視点を持っておられ、そんな坂部さんの描かれる絵を自分の目で観てみたいなと機会を伺っていたのですが、なかなかチャンスが訪れず……。

しかし、ふと見たインスタグラムで「坂部さんが谷中で絵を展示されている!でも今日まで!」と発見し、居ても立ってもいられずバッグを掴み谷中に向かってしまいました

ギャラリーへのご案内は気まぐれ谷中猫さんです。

(さらに…)

見える世界と見えない世界

角野栄子さんという名前にピントこなくても、「魔女の宅急便」の作者と聞けば、「あぁ、あの赤いメガネの」とおしゃれな角野先生の姿を思い出す方も多いと思います。
つい先日もEテレで先生の特集番組が放映されていました。
 
我が江戸川区に11月3日「魔法の文学館」という角野先生の世界を表現した児童文学の館がオープンしたので、早速予約を取って見学に行ってきました。
先生は、幼少期から20代前半までの多感な時期を江戸川区小岩で過ごしたそうです。
同じエドガネーゼとして親近感が!
1935年生まれということは、私の父の世代です。学童疎開も父から話を聞いていた山形県ということで、なお一層親しみがわきました。
 
旧江戸川沿いのなぎさ公園の丘に伸びやかに広がる花びらの形の白い建物は、建築家・隈研吾氏の設計。
春には、色とりどりの花に囲まれてさぞや美しいことでしょう。
中は「魔女の宅急便」の「コリコの町」をイメージしたいちご色の可愛らしいデザイン。
これからいらっしゃる方も多いと思うので、ネタバレは最小限に!
 

①ショップ キャラクターグッズやお菓子、(少しお高いですが)おしゃれな先生ご愛用の服やアクセサリーもあります。ショップオリジナルの袋もキュートなデザイン!

断捨離中なので少しで我慢。

②大階段 左隅には1段ずつクッションシートが置いてあり、そこで選んだ本を読む人も。 階段に腰を下ろして本を読むなんて何年振りかしら?

こんな町に迷い込みたい。

③黒猫シアター 入場時に上映時間の書いてあるチケットを受け取ります。
子供たちが元気に参加していました。もちろん、大人も童心に帰って楽しめますよ。


④ギャラリー 児童文学に関する企画展を催しています。今回は「魔女展」でした。
西欧では魔女人形をお守りにキッチンに吊るすそう。確かに料理って魔法のようですね。

先生の集められた魔女人形もたくさん。

⑤アトリエ 先生の仕事場を再現。棚に並んだ愛読書を眺めながら、「こんな本を読むんだ!?」とびっくりしたり。生い立ちを映像で確認したり。

⑥ライブラリー 本に囲まれた明るいおとぎの世界のような場所。館内には先生が選んだ1万冊の児童文学書があります。

こちらは1階「コリコの町」の本棚。
2階ライブラリーの写真は、夢中になって本を探していて撮り忘れました。


⑦カフェ・キキ 15時過ぎに行ったら、食べ物はほぼ売り切れでした。コーヒーがまろやかで美味しかったです。今度はサンドイッチやカレーも食べたいな。更なるメニュー増を願います。  

窓から旧江戸川を眺めながら、甘いものでもいかが?

滞在時間はたった2時間でしたが、なんだか魔法にかけられたような心持ちでルンルン気分で帰路につきました。
子供から大人までたくさんの方にこの素敵な世界観を体験してほしいです。
館内にはたくさんの椅子やソファがあり、選んだ本をゆっくり読むことが出来ます。
予約制で入場者数が限られているので、どこも混雑した様子は有りませんでした。

缶バッジは、早速バッグにつけました。

東西線葛西駅からバス(もしかしたらピンクのラッピングバスに出会えるかも?)で10分。
公園やショッピングセンターも文学館から近いので、一人でも大人同士でもお子様連れの方でも、充実した都内の休日を過ごせる場所だと思います。
 
「見える世界と見えない世界」この文学館の中で何度も耳に目にする、先生の大切なお言葉の一部です。                           
K/T
「魔法の文学館」https://kikismuseum.jp/
 

時を超える箏曲の調べ


先日、国立劇場へ三輪田学園 箏曲部の監修をしていただいている六代 山勢松韻先生が主催される「山勢松韻會演奏會」にお邪魔してまいりました。名残惜しまれながらも老朽化のため後1ヶ月で改修工事が始まるという国立劇場は三輪田学園から程近い半蔵門にあり、おそらく今の姿の国立劇場に来るのも今日が最後だと思うと、ますます有り難く感じます。



歴史を感じさせながらも今だ艶やかな絨毯がまばゆいロビーに、ひときわ雅なパンフレットが置いてありました。午前11時から始まり午後8時で終演という9時間にも及ぶ演奏会がこのパンフレットにつまっているかと思うと、折らないように、しわをつけないように、とページを繰る手も丁寧になってしまいます。



写真は開場して間もない時間ですが、重たい緞帳があがるのを待ちきれないように、次々とお客さまが入っていらっしゃいました。秋分も過ぎやっと夏の熱気がおさまってきた空気でしたので、目に麗しい着物のお客様がたくさんいらっしゃいました。



幕があがると、舞台には金屏風を背景に緋毛氈の段が置かれています。

最初の演目は『羽衣曲』。深い黒の五つ紋を隆と着こなされた山勢松韻先生と三輪田学園出身で現在も箏曲部をご指導いただいている山勢麻衣子先生が、春夏秋冬に序と賀を加えて六歌とした組歌を静かな迫力で奏でます。会場は水を打ったような様子でおふたりの演奏に聴き入っていました。

3つめの演目は、お茶の水女子大学付属高等学校・三輪田学園高等学校卒業生24人で演奏された『ひぐらし』です。さまざまな年代の方が参加されていましたが皆さま息がぴったりで、華やかな中に渋さもありとても素敵な演奏でした。松操会誌でも参加者を募集させていただいたのですが、お箏に触るのが何十年ぶりという方もいらっしゃったそうです。そのようなブランクを全く感じさせない楽しい演奏に心を奪われました。山勢麻衣子先生は箏本手を、松操会でもお世話になっている城ケ﨑明雪勢さんは箏第一替手を務められています。途中、琴爪で弦をはじいてひぐらしの鳴き声を表現されるシーンもあり、秋の始まりを感じさせるワクワクした気分になりました。

また小さなお子さまも日頃のお稽古のご成果を、素晴らしい演奏をもって見せてくださって、箏曲の明るい将来が見えるようでした。



演奏会の前には、松操会のみなさまにもたくさんお会いしました。三世 山勢松韻先生の像の前で写真をパチリ!

『源氏物語』『平家物語』『枕草子』にも登場するという平安時代の貴族たちが愛した箏曲は、優雅でありながらもどこか背筋の伸びる清冽さを感じさせられ、わたしもしっかりと毎日を生きなくては、と思うことができました。

素晴らしい機会をありがとうございます。次の演奏会もまた楽しみにしております。


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