常任委員のつぶやき

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時を超える箏曲の調べ


先日、国立劇場へ三輪田学園 箏曲部の監修をしていただいている六代 山勢松韻先生が主催される「山勢松韻會演奏會」にお邪魔してまいりました。名残惜しまれながらも老朽化のため後1ヶ月で改修工事が始まるという国立劇場は三輪田学園から程近い半蔵門にあり、おそらく今の姿の国立劇場に来るのも今日が最後だと思うと、ますます有り難く感じます。



歴史を感じさせながらも今だ艶やかな絨毯がまばゆいロビーに、ひときわ雅なパンフレットが置いてありました。午前11時から始まり午後8時で終演という9時間にも及ぶ演奏会がこのパンフレットにつまっているかと思うと、折らないように、しわをつけないように、とページを繰る手も丁寧になってしまいます。



写真は開場して間もない時間ですが、重たい緞帳があがるのを待ちきれないように、次々とお客さまが入っていらっしゃいました。秋分も過ぎやっと夏の熱気がおさまってきた空気でしたので、目に麗しい着物のお客様がたくさんいらっしゃいました。



幕があがると、舞台には金屏風を背景に緋毛氈の段が置かれています。

最初の演目は『羽衣曲』。深い黒の五つ紋を隆と着こなされた山勢松韻先生と三輪田学園出身で現在も箏曲部をご指導いただいている山勢麻衣子先生が、春夏秋冬に序と賀を加えて六歌とした組歌を静かな迫力で奏でます。会場は水を打ったような様子でおふたりの演奏に聴き入っていました。

3つめの演目は、お茶の水女子大学付属高等学校・三輪田学園高等学校卒業生24人で演奏された『ひぐらし』です。さまざまな年代の方が参加されていましたが皆さま息がぴったりで、華やかな中に渋さもありとても素敵な演奏でした。松操会誌でも参加者を募集させていただいたのですが、お箏に触るのが何十年ぶりという方もいらっしゃったそうです。そのようなブランクを全く感じさせない楽しい演奏に心を奪われました。山勢麻衣子先生は箏本手を、松操会でもお世話になっている城ケ﨑明雪勢さんは箏第一替手を務められています。途中、琴爪で弦をはじいてひぐらしの鳴き声を表現されるシーンもあり、秋の始まりを感じさせるワクワクした気分になりました。

また小さなお子さまも日頃のお稽古のご成果を、素晴らしい演奏をもって見せてくださって、箏曲の明るい将来が見えるようでした。



演奏会の前には、松操会のみなさまにもたくさんお会いしました。三世 山勢松韻先生の像の前で写真をパチリ!

『源氏物語』『平家物語』『枕草子』にも登場するという平安時代の貴族たちが愛した箏曲は、優雅でありながらもどこか背筋の伸びる清冽さを感じさせられ、わたしもしっかりと毎日を生きなくては、と思うことができました。

素晴らしい機会をありがとうございます。次の演奏会もまた楽しみにしております。


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