常任委員のつぶやき

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月夜とめがねと香水瓶


5月のある雨の日、濃い緑が美しい目黒雅叙園に行ってきました。

お目当てはただ今、開催中の「大正ロマン×百段階段」コラボです。今回の切り口は文学。「文豪が誘うノスタルジックの世界」という、いかにもロマン溢れる世界を期待させるサブタイトルがついています。

昭和10年に完成した文化財・百段階段の部屋で、近代文学をイメージした空間演出とイラスト、そして今回も参加されている39回キタガワアキコさんのガラス作品がどのように物語を紡いでくれるのでしょう。※立体展示出展者紹介もご覧ください。


文豪が登場人物で作品名が技になっているというアニメ『文豪ストレイドッグス』好きが高じて、文学を愛するようになった娘と共にお邪魔させていただきました。



昭和の竜宮城とも言われている豪華絢爛な部屋を彩るのは、文学作品をイメージしたインテリア、そして立東舎から出版されている人気イラストレーターと文学がコラボした『乙女の本棚』のイラスト、そしてガラスの香水瓶や猫のオブジェなどの工芸作品となっています。

テーマとして選ばれた文学作品は太宰治『葉桜と魔笛』、中島敦『山月記』、泉鏡花『外科室』、谷崎潤一郎『秘密』など。

他のお部屋は実際に行って味わっていただくことにして、キタガワアキコさんのガラス香水瓶が演出に華を添えていた小川未明『月夜とめがね』の世界をご覧ください。

まずは小説をイメージした、げみさんのイラストが出迎えてくれます。



部屋の中を進んでいくと、とてもさりげなくインテリアに馴染んだ様子でキタガワアキコさんの香水瓶が飾ってありました。

娘も会場のイメージに合わせて少しクラシカルなワンピースを着ていったのですが、そんなコスプレ風の服装が全く浮かないぐらい大正ロマン風レトロな着物を召した別嬪さんがたくさんいらっしゃいました。どうやら着物のレンタルとランチがセットになった「大正ロマン×着物セット」という入場券が発売されているようです。

また、そんな素敵なお嬢さんたちが香水瓶の前で立ち止まり、うっとりしながら「素敵。欲しい」「下の売店で売っているわよ」なんて話し合っていました。わたしと娘の鼻が少し高くなってしまう瞬間です。



展示されている6つのガラス作品の中でも、最も『月夜とめがね』の世界観を体現されていると思った作品はこちらです。

小さなガラス瓶の中に、どこまでも広がる夜空とそこに浮かぶ月を感じることができます。

夜、月、花、蝶……ネタバレになってしまうので詳しくは書けないのですが、ぜひ、小説を読んでから行かれることをオススメします!



主人公となるおばあさんの部屋はこちら。

安楽椅子、古いミシン、裁縫道具。わたしもいつかおばあさんになったら、こんな部屋で裁縫をしたり推理をしたりしたいです。



こちらは月夜に佇むめがねの行商人さんをイメージしています。

このように、どの部屋にも文学作品を彷彿させるインテリアが展開されています。手を触れずに演奏する不思議な電子楽器テルミンの演奏家ヨダタケシさんのBGMと相まって、小説の中に迷い込んだような不思議な体験ができました。

会期は6月11日(日)まで!ぜひ、ノスタルジックな世界を味わってきてください。



猫部の皆さまへ、にゃんサービス♪

萩原朔太郎『猫町』をテーマにした十畝の間の猫さんたちです。たくさんの猫さんが所狭しとひしめきあっていて、とっても可愛いかったです。こちらを向いている猫さん、つぶやきでもお馴染みのハルカちゃんに似ていませんか?



キタガワアキコさんの展示・イベント予定は下記のリンクから確認できます。

<ホームページ>
ガラス作家 キタガワ アキコ
https://www.kitagawaakiko.com/

<インスタグラム>
 @bathakiglass
https://www.instagram.com/bathakiglass/  
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